nurs.

ICU.CCU.ER.COVID-19 感染者病棟で勤務しています。このblogでは『健康になる。健康を維持する。』をテーマにした記事を投稿します。

【エゴ】施設に入居するということ【尊厳】

今回は施設について書こうと思います。施設というとどんな事を連想されますか?

・介護困難者が最後に行き着く場所
・現代の姥捨山
認知症患者がいっぱいいる所
・徘徊
ホスピス

どれも間違いではないと思います。しかしながら施設も経済社会の中で運営されているので無駄な費用は削りたい。出来ればケアも、ケアに付随する物品も、職員の数さえも…

施設に入居して損をしないためには施設側とどのような交渉をしていくべきなのかを主軸に看護師の主観で書いていこうと思います。

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施設ってどんな事をしてくれるの

形態によりますが、基本的にはサービス付き高齢者住宅の様なものです。利用者のレベルによりサービスの質が上がっていき、介護度と共に金銭も変わってくるといった感じです。例えば自分の事はなんでも出来る人は

家賃+食事+洗濯代やら諸々の雑費+(必要であれば)看護or介護サービス料金 

こんな感じで月々20万円程度かと思います。

しかしほとんどの場合は重篤な障害や寝たきり状態で介護困難となり入居する場合が多いので

相当量の経費がかかってきます。例えば‥

寝たきりの方だと雑費に

・オムツ

・シーツ

・パジャマ等の洗濯

食事に

・食事介助などの介助料

・食形態の変更料(ミキサー食への変更等)

・食事が進まない人には捕食料(3時のオヤツや栄養補助促品など)

往診に

・医師と付随する看護師の往診料

・医師の指示の元、日々行われる医療処置料

・薬代

等がかかってきます。この中で公費負担は往診の部分のみとなる場合が多いですね。なので寝たきりの人はかなり高額となる場合が多いです。施設によってはコストの関係で要介護○以上でないと入居が出来ない、なんて所もあります。ただ住んでいるだけではお金が取れないからです。それならば介助度が高い人を入居させて料金を発生させないと経営が成り立たないという判断をするのが一般的となっています。

但し難病指定の場合はオムツ代から医療費まで公費で出るので施設側からするとwelcomeな場合が多いのが現状です。

施設で起こる事

施設では基本的に少人数の看護師と大人数の介護士で運営されている所が多いです。この構成になっている理由は介護士の方が看護師より安く雇用する事が可能だからです。しかし介護士はなり手が少ないため多くの施設で派遣会社からの派遣要員で賄われている事が多いのが現状だと思います。当然ながら派遣さんは現場の事をよく分かっていないのでケアの質はかなり低く通り一遍の事しかできません。一方で介護の現場は基本的に重労働な事が多いので現場の人間は派遣さんが来るとここぞとばかりにケアのほとんどを丸投げする事も少なくありません。ここにケアの質が上がらない理由があると思っています。

これは看護の現場でもよくある事で、医師の診察介助や家族との連絡は社員の看護師が行う事が多いのですが、実際に処置周りにつくのは派遣看護師である場合が多いです。従って処置の状態が前と比較して良い/悪い等の判断が付きづらく質の低いケアが行われている現状が多くあります。

施設に要求すべき事

病院では「退院」というゴールに向かって治療を行っていきますが、施設では何を利用者さんのゴールにしていくか不明瞭な場合が多くケアの方向性が統一できていない事が質の低下に繋がっている場合が多いと感じています。例えば

「孫の試合を見にいきたい」

「来月家族と外食したい」

「一日一回は外に散歩に行きたい」

等の明確な目標を施設側と共有していかなければならないと感じています。さもなくば施設側の都合に合わせた通り一遍なケアを提供され、久方振りに面会に訪れた際変わり果てた親と面会しショックを受けてしまう。等の場面をよく見受けます。

実現不可能な要求(末期癌を完治させて欲しい。寝たきりの親を一人で歩ける様にさせて欲しい)をするのではく、施設の能力と親の行く末を考慮した要求をしていく事が施設とうまく付き合っていく秘訣の様です。

命は誰のもの?以前書いた記事を紹介

freenurs.hateblo.jp

以前書いた人生会議に関する記事を再掲しておきます。後悔のない選択をするために是非ご一読いただければ幸いです。